【第32回】衆議院選挙公示
本日衆議院選挙の公示がなされ、12日間の選挙戦が幕を開けました。
それでは、改めましてここで。
これまで当コーナーで取り上げてきた話題の総括と、自分の個人的政治の立ち位置について述べさせて頂きます。


では、まず最初に、今まで取り上げてきたテーマをまとめてみます。
【第01回】1905年1月 博多駅にて
【第02回】1905年9月5日 日比谷焼打事件
【第03回】1993年9月21日 椿事件
【第04回】本朝新聞事始め(壱)
【第05回】1945年8月 ハルピンにて
【第06回】臓器移植に際しての体験談 変態毎日新聞記者の資質
【第07回】奈良大淀病院事件
【第08回】所謂“たらいまわし”と加古川市民病院心筋梗塞裁判
【第09回】本朝新聞事始め(弐)
【第10回】本朝新聞事始め(参)
【第11回】報道しない自由−事務所費問題
【第12回】報道しない自由−事務所費問題 小沢一郎氏の場合
【第13回】マニュフェスト
【第14回】公共事業
【第15回】独立行政法人
【第16回】温暖化ガス25%削減
【第17回】補正予算執行停止
【第18回】随意契約4兆2000億円?
【第19回】子供手当と扶養控除廃止(1)
【第20回】子供手当と扶養控除廃止(2)
【第21回】子供手当と扶養控除廃止(3)
【第22回】子供手当と扶養控除廃止(4)
【第23回】租税特別措置
【第24回】テレビ視聴時間と支持政党
【第25回】農業の戸別所得補償制度と米国とのFTA締結
【第26回】民主党日教組
【第27回】民主「国連警察隊」創設を検討?
【第28回】文藝春秋9月号 誰も知らない民主党研究
【第29回】戦争とマスコミと民衆(壱)
【第30回】戦争とマスコミと民衆(弐)
【第31回】政治献金問題から垣間見える鳩山代表の資質


アクセス解析をかけると、圧倒的に注目度が高いのは【第16回】温暖化ガス25%削減。
民主党岡田幹事長の発言通りの国際公約を掲げると一世帯当たりの年間負担は36万円」
こんな目玉が飛び出るくらいの増税になるわけですが、何故かマスコミはこの『一世帯当たりの年間負担は36万円』という具体的な数値に触れません。
しばらく前に朝日新聞で行われた「地球温暖化防止のために増税もやむを得ないと思うか?」とのアンケートでイエス過半数を超えていましたが、イエスと云った人たちに「では、年間36万円の増税になりますが構いませんよね?」という質問も是非して頂きたかったところ。
それからもう一度指摘しておきますが、この公約が怖いところは「国内公約」ではなく「国際公約」になりうるということ。
他の諸政策は政権交代したり、方針が変更になれば覆せますが、今年12月の国際会議の場で「鳩山首相」が「日本は温暖化ガス25%削減に取り組みます」と云った瞬間に国際公約になってしまうのです。
そして、現実に「温暖化ガス25%削減」は技術革新や節約で達成しうる数字ではありません。日本中の車の大半が電気自動車に置き換わらないと無理な数値なのですから。そうなると「排出権取引」を行わざるを得なくなり、国外から排出権を購入する羽目になり、国民から集めた税金を、めでたく海外に貢ぐ図式が完成します。
日本国民の大半が「エコのためなら国外に税金を貢いでも構わない」と考えているのでしたら止めはしませんが、少なくとも個人的には到底賛成しかねます。


次に注目度が高いのはやはり【第19回】から【第22回】にかけての「子供手当と扶養控除廃止」について。
詳細については該当回を読んで頂くとして、改めて数値だけおさらいしておきますと。
子供がいないor子供が控除から外れた専業主婦(年収103万円以下)世帯の年間収入が400万円の場合、試算すると所得税・住民税込みで年間増税額は約6万円です。
そして少なくとも公表されている数値を見る限り、岡田幹事長の云う「増税世帯は全体の4%だけ」というのは嘘っちぱちです。新たな控除制度を設けない限り、増税世帯はこの数倍は存在する筈です。
そもそも都会はいざ知らず、田舎だとパート年収100万円以下の専業主婦世帯なんて、ゴロゴロいる筈なのですが(実際うちの病院の事務パートの人の大半はこの区分)、岡田幹事長はご実家のイオンに行って、レジなどで働く奥さま方に年収を聞くくらいのことをしたことがないのでしょうか?


その次に注目が高いのは、意外なことに【第17回】補正予算執行停止について。
先日から党首討論鳩山代表は「現在の補正予算は意味がないから政権取ったら停止させる」と繰り返していますが、先般のGDPのプラス成長の結果を捏造とでも主張されるおつもりでしょうか?(本気でそう主張しても驚きませんが)
あと国会での党首討論の際に鳩山代表が大々的に主張し、マスコミもその主張のまま垂れ流した『独立行政法人などの官僚天下りの受け入れ先へ支出された3兆円の削減』については、相変わらず詳細については一向に触れて貰えません。
独立行政法人は全て民営化もしくは廃止するから全額削減可能だ」くらい云ってくれると思ったのですが、遅ればせながら金額の内訳を理解したのでしょうか?
ともあれ、独立行政法人が本来持つ意味と利点については【第15回】独立行政法人の回をご参照下さい。
あとは【第25回】農業の戸別所得補償制度と米国とのFTA締結と【第8回】所謂“たらいまわし”と加古川市民病院心筋梗塞裁判が目立つ程度で、その他のテーマへの関心度は低そうです。


以上がこれまで話題にしてきたテーマの再まとめになりますが。
衆議院選挙が公示されたと云うことで、ここで自分の政治的立ち位置について述べさせて頂きます。
まず第一に。自分は本来無党派の立場で、自民党支持者ではありません(思想信条的にも保守というより、本来リベラル寄りです)。
「ここまで民主党批判を書いてきてなんだ!」
そう当然云われるでしょうが、自民党も確かにいい加減にして貰わないと困りますけれど、民主党がそれ以上にデタラメであるから、批判せざるを得ないのです。
このまま民主党が圧倒的勝利を収め、マニュフェストやインデックスに記している通りの政策を実行した場合、現在の国民のみならず、未来の国民にまで悪影響を及ぼすことは必至です。
勿論、国民がそれを納得した上で民主党に投票するなら批判は出来ませんけれど、少なくとも各種世論調査を見ている限り「自民党にお灸を据えるために民主に投票する」という動機が一番多い模様です。「自民党にお灸を据えるつもりが、自分がお灸を据えられる羽目になった」と後で後悔しないためにも、このブログで民主党の政策にツッコミを入れているわけで。
ですが、本来これはマスコミの仕事なのですよね。そこで次の主張になるのですが。


次に、自分の批判の本当の対象は、民主党よりもマスコミです。
民主党に投票しようとするの大半が「民主党の政策が素晴らしい」と信じて投票するならばこれは誰にも止められません。ですが、実体はそうではありません。
本来「政権を担うことになるかも知れない政党」の政策について、丁寧に解説し、かつ不備なところは指摘する義務がマスコミにはある筈です。
ですが、マスコミはその義務を放棄するだけでなく、検証さえすることなくただ民主党の政策を垂れ流すだけ(遅ればせながら、というか後のアリバイ作りのために新聞各社は最近検証を始めましたが)。
外交の基本政策に関する鳩山代表の発言が三日間連続で毎日変わったにもかかわらず、新聞が片隅に小さく「ブレたとの批判も」と載せるだけ。
直接総理が発言したわけでもない「雑音」を勝手に「真実」と認定し、後のその雑音と総理の発言が食い違うと「ブレたブレた」とイヤになるほどテレビで連日批判していたのとはえらい違い。
あれほど大きくマスコミが騒いだ「政治と金の問題」も小沢代表が辞任して以降は、全くなしの礫で、鳩山代表故人献金等の問題を徹底解明しようと試みるマスコミはなし。
政権交代させたいが為だけに、首相を貶し、民主党を持ち上げているようにしか見えませんし、恐らくそれを否定できるマスコミ関係者もいないでしょう。
こんな状況下で行われる選挙が“まとも”である筈もありません。
ですが、その結果を最終的に甘受させられのは国民であって、マスコミではありません。


さて、以上より、このブロクをお読みの方にお願いしたいことがあります。
今後も当ブロクでは諸々民主党の政策について解説していく予定ですが、民主党の政策解説を読み、それでもその政策に納得できる、という方だけにして下さい、民主党に投票するのは。
勿論だからといって、自民党に投票して下さいなんて云いません(自分自身、悩んでいるくらいで)。
棄権でも、白票でも、「確かな野党」としての共産党でも構いません。
ぶっちゃけ、あなたが投票しなくても、民主党の勝利は動きません。
自分の予想でも地滑り的に民主党が勝利を収め、最低でも単独過半数は取るでしょう。
そして来年の参議院選挙の頃までは、まだばら撒く予算があるでしょうからばら撒きを続け、その結果、参議院でも民主党単独過半数を取るでしょう。
ですがその結果として、自民党にせよ、共産党にせよ、壊滅的な敗北を被った場合、民主党が暴走を始めた時にそれを止める政党がなくなります。
社民党民主党の暴走を引きずる方向に働くでしょうし、元々方向性が違う国民新党とは袂を分かつ可能性の方が高いです(もしくは国民新党全体が民主入りするか)。
そして、マスコミは少なくとも「彼らが望む民主党のリベラルかつ低負担高福祉の諸政策」が実現するまでは民主党を応援し続けるでしょう。
……熱狂が醒めた後にはペンペン草も生えていなかった。。。
そんな惨劇だけは、どうか避けられますように、というのが自分の現段階での唯一の望みです。
(続く)