本日は年金制度について書くつもりで結構書き進めていたのですが、保存し損ない消えてしまったため明日回しに orz。
代わりに再び民主党マニュフェストにおける教育制度について。
【第36回】教員養成課程6年制
民主党マニュフェストより
【政策各論】
〈2〉子育て・教育
 ▽教員養成課程を6年制とする。

民主党は27日、衆院選で政権を獲得した場合、教員免許取得に必要な大学の4年制養成課程を、2012年度から大学院2年も義務化して6年制に延長する方針を固めた。
教員の指導力向上が目的。今年4月に始まった教員免許更新制度は「教育現場の負担が大きく、効果が不透明」として新制度導入に合わせ廃止する。
免許取得前1年間の教育実習も義務付ける。
6年制の受け皿となる「教職大学院」は09年度現在、全国に24校しかない。
民主党は、11年度までに都道府県ごとに設置した後、12年度から新制度に移行させる考え。
政権獲得後1年をかけて(1)カリキュラムの策定(2)教授陣の選考(3)教育実習受け入れ校の確保―などの準備を進める。
教員免許更新制は「教育再生」を掲げた安倍内閣が「不適格教員」排除を念頭に導入を決めた。教員免許を有効期間10年の更新制とし、更新前に30時間以上の講習を義務付けた。
しかし講習時間確保を求められ、教育現場の負担が大きいなど問題点が指摘されている。
民主党は現職教員の質の向上策として、免許取得後8年以上の現場経験を積み、「教科指導」「生活・進路指導」「学校経営」の各分野で高い能力を持つと認定された教員には「専門免許状」を与える制度も新設する方針。将来的には、校長や教頭などの管理職となるには学校経営の専門免許状取得を条件とする方向だ。
民主党は、政府の無駄遣いを精査する「事業仕分け」の結果を7月に公表し「講習の効果が不透明で教員の質の向上は図れない」として免許更新制廃止を主張していた。


以上引用終了。
本文中にある「教員免許更新制」というのは記事中にある通り安倍政権の時にやっと成立した、所謂「不適格教員」を排除するための制度です。
意図的にミスリードさせている論調もありますが、この制度は別段「思想信条で教員を解雇する制度」ではありません。公務員なことを盾にとって明らかに職務放棄にもかかわらず解雇されない教師から教員免許を剥奪するためのものです。
もっとも実際に成立させた安倍政権としては、授業そっちのけで日教組の活動に専念する、既に教師とは呼べない教師を教育現場から追放する意図もあったことは否定できないでしょう。
ですが、後者は兎も角(←当然おかしいのですが)前者のような教師が一定数以上存在していることは皆さん学生時代に経験があるでしょうから(自分は二人ほど該当しそうな教師に心当たりが)、この制度自体を早急に否定する必要はない筈です。
にもかかわらず、既に選挙前のこの時点からこんなことを公言しているのは【第26回】民主党日教組 で取り上げた通り、参議院民主党のボスである輿石東の出身母体が日教組だからとしか考えられません。
【第26回】でも記した通り、輿石議員の中には「教育の中立性」などという概念は存在しません。なにせ本人がそう公言しているのですから。
民主党政権下で教育現場に何が起きるか、想像するだに恐ろしいのですが、もう一つ恐ろしいのは更に四年後「再び」政権交代が起こった場合、それまでの反動で、逆の方向にブレ無いのかということ。
「教育の中立性」という基本的な思想が左、右を問わずに無視されるようになれば、結局被害を被るのは教育を受ける生徒たちです。


さて、後は制度面からのこの制度のツッコミですが。
>>6年制の受け皿となる「教職大学院」は09年度現在、全国に24校しかない。
この「教職大学院」は私立大学のそれを除いては現在独立行政法人だと思いますが、今度新設するという各県ごとの「教職大学院」はどう扱うのですが? 全て国立? それとも全て民営化ですか?
いずれにせよ「箱物」が必要となると思いますが、その設置費用は? 残り23校分だけで、最低数百億円単位必要となると思いますが、無駄遣いの削減はどうなったのですか?
あと「大学院2年も義務化」とありますが、いくら奨学金などがあったとしても、現行より更に2年も無報酬期間が続くことになります。大学院に行っていてもその両親は特定扶養控除は受けられるのでしょうか?
かつ大学院を卒業しても「試験に不合格」になった場合はどうなるのでしょう? 
理系の専門職なら兎も角、今の法科大学院ですら既にかなり問題になっているのに、正直なところ、更に潰しが効かない教育学部出身で就職は大丈夫なのでしょうか? 
しかもストレートで就職できても他の文系出身者たちより最低2年、入社が遅れることになります。それを本人側も、また企業側も「リスク」として捉えないのでしょうか?
更に「専門免許状」制度ですが、これを審査するのは一体何処の誰なのでしょう? 
もしこの認可権が「特定の組織に属する人たち」の手によって握られると、実質その「特定の組織」――ぶっちゃけ日教組――が、学校の管理職の人事権まで握ることになります。
もっとも今の段階でも特定の県では実質的な人事権を日教組が握っているので、それが全国に拡がるだけ、ということですが。
いずれにせよ、民主党の政策は日教組の主張と「ぼくのかんがえたりそうのきょういく」でしかありません。
「教育は政治家の玩具ではない」ということをもう一度問い直して貰いたいところですが……マスゴミが必至に民主政権下での「民主的な」教育制度を絶賛するでしょうから、期待薄でしょうね。
(続く)